本記事では、ニアショア開発を検討するにあたり、メリットとデメリットを解説したうえで、ニアショア開発会社の選び方のポイントを紹介いたします。
オフショア開発とニアショア開発には違いがあり、本記事を読んでいただき、どちらを選択するか判断材料の1つになればと思います。
目次 [非表示]
1.ニアショア開発とは
そもそもニアショア開発って何?をこの1章では紹介したいと思います。
1-1.ニアショア開発とは地方企業へ外注すること
ニアショア開発とは、国内で首都圏ではなく地方企業へ業務を委託するという意味で使われます。
地方企業に依頼することで、人件費を首都圏よりも多少なりとも抑えることができます。結果的にコスト削減に繋がります。
1-2.ニアショアvs首都圏vsオフショアの違いとは

ニアショア開発において、首都圏やオフショア開発と比較してどこにメリットを感じることができるか比較してみます。
※オフショア開発とは、海外にある企業や拠点を持っている企業へ外注することです。オフショア開発の詳細については、「オフショア開発とは?概要やメリット、成功させるポイントを紹介」の記事で詳細をご参照ください。
| 項目 | ニアショア開発 | 首都圏 | オフショア開発 |
|---|---|---|---|
| コスト | 〇 | ▲ | ◎ |
| コミュニケーション | 〇 | ◎ | ▲ |
| 体制構築 | ▲ | 〇 | ◎ |
| 外注先の選定 | ▲ | 〇 | ◎ |
それぞれの項目について、ニアショア開発を主語において解説します。
(1)コストメリットはオフショア開発には劣る
開発コストを抑える手段として、ニアショア開発が手段の一つになりますが、それは「国内限定」になります。海外まで視野を広げると日本よりもコストを抑えられる国もいくつかあります。日本よりも物価が安い国がいくつかあるからです。また、ニアショア開発は活用方法次第では結果的に首都圏で依頼した時と比較してコストメリットが出ないこともあります。
(2)国内でコミュニケーションを取れる
当たり前のように聞こえますが、国内でやり取りできることのメリットは様々あります。
- 日本語が通用する
- 日本人の感性を分かってくれる
- 時差を気にしなくて良い
- 契約関係がスムーズに進む
- 何かあった時に、その日に駆け付けられる
- 為替を気にしなくて良い
- 諸外国の治安を気にする必要がない
「日本人ならではの感性」は伝えやすいので、意思疎通は取りやすいでしょう。それでも担当者や会社の技術力によってクオリティが変わるので、進行管理や納品物の確認はしっかりと実施する必要があります。
それがオフショア開発の場合…慣れない言語でのコミュニケーションになるので、コミュニケーションの取り方に苦労する可能性があります。また、「日本人ならではの感性」が伝わりづらいので、より細かに指示をする必要があります。コミュニケーター役となるブリッジSEが日本人である会社を選択すれば、このような苦労も軽減することができるでしょう。
(3)優秀なエンジニアを確保しづらい
日本は首都圏に人口が集中しているので、その分首都圏の方が優秀なエンジニアが多くいるのが現状です。地方で優秀なエンジニアを確保するとなると、限られていて、スケジュールを確保するのが困難なケースがあります。
要件定義できるようなPMクラスは、自社(首都圏)で対応して、SE、PGクラスをニアショア開発するといったような一部切り出しでお願いする体制を組む方がスピーディーに進めることができます。
それがオフショア開発の場合…日本よりもエンジニアが豊富にいることもあり、現地の人材を活用することで自社は労することなく、スピーディーに体制を組むことができます。
(4)委託先が見つからない
地方だと、委託先の企業が限られているのも現状です。数社に断られ、次にできる会社を探そうとしたときに、対応できる会社が無いというケースもあります。そのようなときは、その地域でのニアショア開発を進めるにあたり時間が掛かる可能性があります。
それがオフショア開発の場合…オフショア開発をしている企業であれば基本的に断られるケースは少ないです。仮にその企業のリソースが不足していても、新規採用ですぐに人材を補填することができるためです。弊社の実績として、約1ヶ月間求人を出すと50~60名程の応募が殺到する状況です。
1-3.ニアショア開発をする理由とは
一番の狙いは、「開発コストを抑える」です。地方のほうが首都圏よりも賃金が安いためにそれを可能にしています。また、国内で日本人とコミュニケーションが取れるという点でも評価が高い開発手段でもあります。
具体的なメリット・デメリットは、このあと2章でご紹介します。
2. ニアショア開発のメリットとデメリット
ニアショア開発は、メリットとデメリットは紙一重です。やり方次第でメリットにもなり、デメリットにもなります。どのような点に気を付ければメリットに繋げることができるのか、紹介します。
2-1.人件費を抑えられるが、嵩む時もある
1-2でも紹介した通り、地方のほうが賃金は安いという理由から人件費を抑えることが期待できます。一方で、想定よりも嵩んでしまうケースもあります。
それは、優秀な人材を活用した時です。PM、PLクラスの人材は首都圏と地方では人件費の差がないケースが多いです。
人件費において、効果を期待したい場合は、SE、PGクラスの人材を依頼するようにしましょう。
<参考>
同じ日本に住んでいながらも地域によって最低賃金が異なり、物価も異なります。最低賃金がある種基準ともなっており、2025年8月1日時点の最低賃金をベースに考えてみると、、
東京:1,163円×8h×25日=232,600円
岩手:951円×8h×25日=190,200円 ※岩手が最安値
その差額は、1人当たり1ヶ月で42,400円もあります。
ただし、母数が少ないこともあり欲しい人材は少ないかもしれません…そこのバランスが大事であり、難しいところです。
同じ国内にいるのに時給が異なるのは…云々ありますが、私がコントロールできることではないです。
都道府県別の最低賃金については、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」よりご確認いただけます。
ちなみにSEの平均年収ベースでみると、東京が590万円、宮崎が405万円、年間で185万円もの開きがあります。
SEの平均年収については、求人ボックス 給料ナビ「システムエンジニアの仕事の年収・時給・給料」を参考にしています。
2-2.首都圏よりは人手が余っているが、体制構築が遅い時もある
地域によっては、首都圏と比較して案件が少なく人手が余っているケースがあります。一方で、なかなか体制構築が進まないという声も聞きます。
それは、欲しいスキルを持った人材が不足しているからです。PM、PLクラスの人材は首都圏に進出しているケースが多く、なかなかその上位層が集まらないです。体制構築をスムーズにしたい場合は、SE、PGクラスの人材を依頼するようにしましょう。
2-3. 国内でやり取りできる分、訪問する時がある
1-2(2)でも紹介した通り、国内で日本人とやり取りできるのは魅力的です。一方で、国内にいるからこそ何かあった時に発注先に駆け付ける必要が出てくるケースがあります。その場合、移動時間/移動費が取られ、トータル的に見たときに首都圏の近場の企業に依頼したほうが安くなるケースもあります。
2-4. リスク分散に繋がる
震災国・日本と言われているほど震災が多い島国でもあります。1ヶ所で開発を進めていた時にその拠点で震災が発生した際、すべての進行が一時的にストップする可能性があります。ニアショア開発を利用して2ヶ所で開発を進めればどちらかが被害を受けてももう1ヶ所は活かせるというケースもあります。ただし、どちらかが被害を受けても開発は進められるように予め体制を組んでおく必要はあります。そうしないと被害を受けるリスクが2倍になります。
3. ニアショア開発が向いているプロジェクト
ニアショア開発は、首都圏よりもコストを抑えながら国内企業と円滑にコミュニケーションを取れる点が大きな特徴です。一方で、すべてのプロジェクトに適しているわけではありません。
ここでは、ニアショア開発が特に効果を発揮するプロジェクトの特徴を紹介します。
3-1. 業務システム開発
ニアショア開発が最も活用されている分野の一つが業務システム開発です。例えば、
- 販売管理システム
- 在庫管理システム
- 生産管理システム
- 顧客管理システム(CRM)
- 勤怠管理システム
といった企業向けシステムでは、実際の業務を理解しながら開発を進める必要があります。そのため、要件確認や仕様変更に対して日本語でスムーズにコミュニケーションを取れることが重要です。
ニアショア開発であれば、国内企業同士でやり取りができるため、認識のズレを抑えながら開発を進めやすくなります。特に長期間運用する業務システムでは、保守や機能追加まで見据えて開発パートナーを選定することが重要です。
3-2. Webシステム・Webサービス開発
WebシステムやWebサービスの開発もニアショア開発との相性が良い分野です。例えば、
- 予約システム
- 会員サイト
- ECサイト
- ポータルサイト
- マッチングサービス
などの開発では、リリース後も継続的な改善が発生します。初期開発だけでなく、
- 機能追加
- UI改善
- 不具合修正
- サーバー保守
などを長期的に依頼するケースも多いため、コミュニケーションが取りやすい開発体制は大きなメリットになります。また、定例会議やレビューなども実施しやすく、アジャイル開発との相性も良いと言えるでしょう。
3-3. 保守・運用案件
新規開発だけではなく、既存システムの保守・運用にもニアショア開発は向いています。保守・運用業務では、
- 障害対応
- 問い合わせ対応
- 機能改修
- サーバー監視
- 定期メンテナンス
など、継続的なサポートが求められます。特に利用者数が多いシステムの場合、小さなトラブルでも迅速な対応が必要になります。
国内企業との契約であれば、連絡体制やエスカレーション体制も整備しやすく、安心して運用を任せることができます。
3-4. 長期プロジェクト
開発期間が半年以上に及ぶ中長期プロジェクトにもニアショア開発は適しています。長期プロジェクトでは、
- 要件変更
- スケジュール調整
- 人員の追加・入れ替え
- 機能追加
などが発生することは珍しくありません。そのため、単純な開発コストだけでなく、プロジェクト全体の管理しやすさが重要になります。
国内で同じ言語・商習慣のもと開発を進められるため、プロジェクトマネジメントの負担を軽減しながら開発を進めることができます。
3-5. ニアショア開発が向いていないケース
一方で、ニアショア開発が必ずしも最適とは言えないケースもあります。
例えば、
- 開発コストを最優先で削減したい
- 数十名規模の開発体制を短期間で構築したい
- 海外向けサービスを前提としている
といったケースでは、オフショア開発の方が適している場合があります。また、高度な専門技術を持つエンジニアを大量に必要とする場合には、地域によって人材確保に時間がかかることもあります。
そのため、「コスト」「品質」「コミュニケーション」「体制構築」のどれを重視するのかを明確にしたうえで、開発手法を選択することが重要です。
4.ニアショア開発の会社選びのポイント
ここまでニアショアの概要とメリット・デメリットについて紹介してきました。3章は、実際にニアショア開発やるぞ!と決断した人向けになります。外注先を選定する上で、どのようなポイントに気を付ければ良いか紹介します。
4-1.依頼する内容に類似する開発実績がある
会社によって得意分野が異なりますので、必ず類似実績を確認しましょう。できれば、その開発画面を見せてもらうとより信用も増します。ホームページの事業内容に書いてあるが、実態は異なるケースは意外と多いところです。
会社の規模が大きいからといってその会社が何でもできるわけではないので、気を付けましょう。
4-2.自社開発をしている
自社開発をしている会社は自分たちで提案する力がある会社という指標にもなるでしょう。提案力がある会社の方が、発注側が考えている内容に対して、別の角度から課題を出してくれる可能性が高いです。より磨きの掛かったモノが最終的に出来上がるのではないでしょうか。
4-3.コミュニケーションが取りやすい
発注先の担当者との相性も大事になってきます。数ヶ月単位の案件もありますが、長い案件だと数年に渡る付き合いになる可能性があります。直接の担当者と事前に話をしてみて、話しやすさや専門知識などを事前に推し量っておくと、後々苦労しないで済むかもしれません。
4-4.開発・保守体制が確立されている
以下のような体制が確立されているか、事前に確認しておくと安心できると思います。
- 誰が責任持ってプロジェクトを請けてくれるのか
- その下にはどのようなスキルを持った人が何人付くのか
- 緊急時には誰にどのように連絡取れば良いのか
- 開発はどのようなサイクルで品質を担保するのか
- どのようにプロジェクト全体の進行管理をしてくれるのか
5.ニアショア開発の数字で見る都道府県別データ
ここまで、都道府県によって、最低賃金も異なり、システムエンジニア人口も異なり、システム開発ができる企業数も異なると、、紹介してきましたが、それぞれを都道府県別にまとめてみると以下の通りです。首都圏の数字が飛びぬけていることが分かります。
| 都道府県 | SEの人口 (人) | 開発会社の数 (社) | SEの平均年収 (万円) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 43,850 | 1287 | 493 |
| 青森県 | 6,790 | 137 | 450 |
| 岩手県 | 6,470 | 170 | 449 |
| 宮城県 | 23,820 | 517 | 471 |
| 秋田県 | 3,880 | 142 | 467 |
| 山形県 | 4,890 | 173 | 449 |
| 福島県 | 8,380 | 267 | 455 |
| 東京都 | 611,840 | 24,069 | 590 |
| 神奈川県 | 297,310 | 3,031 | 520 |
| 茨城県 | 26,090 | 552 | 493 |
| 栃木県 | 10,410 | 259 | 465 |
| 群馬県 | 12,170 | 326 | 467 |
| 埼玉県 | 158,960 | 1,190 | 463 |
| 千葉県 | 148,610 | 1,119 | 467 |
| 新潟県 | 14,300 | 452 | 449 |
| 富山県 | 9,700 | 225 | 468 |
| 石川県 | 11,340 | 285 | 467 |
| 福井県 | 5,760 | 190 | 433 |
| 山梨県 | 5,400 | 176 | 459 |
| 長野県 | 15,300 | 511 | 467 |
| 岐阜県 | 13,880 | 349 | 441 |
| 静岡県 | 26,160 | 750 | 487 |
| 愛知県 | 81,840 | 2,214 | 509 |
| 三重県 | 8,730 | 229 | 454 |
| 滋賀県 | 8,570 | 220 | 478 |
| 京都府 | 23,950 | 751 | 468 |
| 大阪府 | 120.760 | 4,015 | 508 |
| 兵庫県 | 53,920 | 1,086 | 466 |
| 奈良県 | 12,480 | 150 | 429 |
| 和歌山県 | 4,300 | 111 | 469 |
| 鳥取県 | 3,070 | 88 | 419 |
| 島根県 | 3,660 | 113 | 472 |
| 岡山県 | 12,140 | 394 | 450 |
| 広島県 | 23,420 | 601 | 498 |
| 山口県 | 5.810 | 169 | 438 |
| 徳島県 | 3,360 | 128 | 468 |
| 香川県 | 6,460 | 188 | 468 |
| 愛媛県 | 6,700 | 259 | 449 |
| 高知県 | 3,180 | 85 | 440 |
| 福岡県 | 62,080 | 1,755 | 499 |
| 佐賀県 | 4,300 | 82 | 412 |
| 長崎県 | 5,670 | 183 | 449 |
| 熊本県 | 9,490 | 269 | 438 |
| 大分県 | 6,490 | 209 | 455 |
| 宮崎県 | 6,930 | 183 | 405 |
| 鹿児島県 | 8,010 | 240 | 419 |
| 沖縄県 | 13,790 | 418 | 452 |
(参照:e-Stat「統計で見る日本」)
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